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残念ながら楽に英語は身につかない

いきなりがっかりさせるようですが、大事な部分なのであえて冒頭に持ってきました。

聞き流すだけである日突然聞き取れるようになる、とか英語の映画をいつも見ていたら英語が分かるようになった、という話が本当ならとても喜ばしいことなのですが、残念ながら大人の頭は一般にそんなに柔らかくありません。トレーニングの一環としては有効ですが、それだけを続けても効果が目に見えるようになるのはほんの一部の方だけでしょう。

英語の学習はスポーツのトレーニングと同じ

人の体は実によくできていて、使えば使うほど使った部分は発達し、使わない部分はエネルギーを節約するために衰えていきます。脳も同じで、というよりも最もエネルギーを消費する器官である脳こそその最たる例で、使えば使うほど能力が増し、使わない部分はすぐになくなってしまいます。

たとえば野球やゴルフの選手が素振りを毎日欠かさないように、言語能力を向上および維持するためにはその言語を使うことで脳を刺激する必要があります

ここで大事なのは刺激することとただ使うことは違うということです。素振りもただ漫然と繰り返しても体がすぐにその動きに慣れてしまい効果が激減します。同様に言語もただ聞いたり読んだりするだけでは脳はすぐに刺激になれてしまいます。初めて聞く言葉の意味を調べたり、文章をつくろうと考えて初めて適切な刺激が生まれます。うーん、うーんと頭を使わない限り、能力は向上しないばかりか維持すらも難しいものです。

意外に思われると思いますが、日本で生まれ中年になるまでずっと日本で育ったような人でも、海外赴任などで日本語から数年離れただけで日本語に不自由するようになることは珍しくありません。染み付いている母国語でさえ、使わないと衰えるのです(帰国して数ヶ月もすれば元に戻りますが)。ましてや、新しい言葉を大人になってから学ぶのですから、とにかく脳に刺激を与えつづけることが大事です。

日本人が英語を苦手な理由

日本人が英語を話せない理由は何でしょう。西洋との言語構造の違い、読み書きを重視するから、受験に偏った学校教育、英会話教室が高いから、島国だから、などいろいろ言われますが、一番の要因は「話せても話そうとしない」からでしょう。

日本の教育水準は非常に高く、これは英語に関しても例外ではありません。おじさん世代であっても6-8年程度のしっかりとした英語教育は受けています。知らないはずはないのです。また日本語の一部になっている英語も数多くあります。時々テレビ番組で英語を使わないで何かをするという企画が登場しますが、出演者の方は皆苦労されています。それぐらい日本人の生活に英語は密着に関わっています。

にも関わらず英語を話せないのは、話したくないと思っているからです。そんなことはない、話したいと思っているからこそこれだけ様々な教材や学校があるのではないか、と思われるかもしれませんが、多くの英語を習っている日本人の心理は、「英語を話したい」ではなくて「完璧な英語をかっこよく話したい」です。そのために「自分の英語はまだ下手で恥ずかしいから話さないでおこう。もっとうまくなってから話そう。」となります。「優等生」の方ほどその傾向が強いので、高学歴で一流企業に務めていても英語だけは苦手で、という方が多くいらっしゃいます。

楽天的で話し好きの女性の方には英語の上達が早い方が多いですね。

留学

英語を学ぶのに一番良い方法は留学することです。日本語を分かる人が周囲にいず、英語圏で、一人でアパートを借りたり車を買ったりするような経済的な余裕がなく、学位取得を目的としている、そんな留学が理想的です。数百万円の出費と数年間の海外生活が必要となりますが、うまくいけばかなり上達します。

英会話学校

大手の英会話学校では大抵英語を母国語とする人が講師を務めていますので、正しい発音に触れられる利点があります。一部の優良校では母国語とするだけでなく教育者としての教育および訓練を受けた人を採用していますので、そういったところでは非常に質の高いレッスンを期待できます。そういう学校で学ぶのは留学の次に効果的と言えます。ただ落とし穴があります。

まず、クラス制の場合は前述の「かっこ悪い(間違った)英語は人前で話したくない」という心理が邪魔をして思うように成果がでません。学校外で英語を使うことは少なく、貴重な練習時間のクラスで話さないので上達しません。英会話教室ではマンツーマンで学ぶ必要があります。

次に、週に一回通うだけではほとんど上達しないという点です。これも上と同じ理由で、学校外では英語を使わないので、週に一回では練習の絶対量がどうしても少なすぎるのです。毎日通っても一回のレッスンは一時間程度ですから、毎日通っても少ないぐらいです。

このように、留学に比べると利用しやすい英会話学校ですが、「正しく」利用するためにはかなりお金がかかります。

書籍やDVD

かかる費用が比較的少なくて済むのは何といっても書籍やDVDといったいわゆる独学型の教材です。書店に行けば無数に並んでいますし、インターネット上でも様々なものが販売されています。新聞広告も豊富です。

広告を見る限り、いかにも詐欺っぽいものから高い効果が望めそうなものまで様々であり、内容の良し悪しについては結局試してみないと本当のところは分からないので言及しませんが、問題はむしろ独学という点にあります。何かを学んでいくプロセスでは、必ず聞きたいことが出てきます。調べて分かることもありますが、調べるのにあまりに時間と労力を費やすようだと、学びその物に嫌気がさしてきます。

英語は目的ではなく手段

分かっているようで分かっていない方が多いのがこれです。

もともと日本人には完璧主義または理想主義的なところがあります。英語の習得もそれが目的であるかのように錯覚してしまうのです。英語学者は英語の研究が目的ですが、一般には英語は意志を伝え合うための手段であって、通じればいい、というものです。美しくある必要はありません。

ところが文法を一から順に全部マスター、とか辞書を一冊覚えれば、とかまずは発音をすべてきちんとマスターしてから、とか基礎からきちんと、とかとにかく完璧に何かを達成していくことが大事だという刷り込まれた意識がある。本来それは悪いことではないと思いますが、英語を学習していく上ではとても邪魔なものになります。

短期留学やホストファミリーの経験などで母国語としてではない外国人の英語(国際語としての英語)を聞いたことがあればいかに日本人が高い理想に向けて涙ぐましい努力をしているかが分かります。学校教育でもっとリアルな国際語としての英語を聞かせられればそれだけで日本人の平均的な英語力はかなり上がるでしょう。

またそもそも英語を学ぶ動機がはっきりしない場合が多いということもあるでしょう。なんとなく就職に有利、とかなんとなく海外旅行をもっと楽しめそう、とか具体的な目標を持たずに学んでいるので、英語を使っている自分の将来像が想像できず、身につけなければという切迫感が薄いのも身につかない理由です。

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